top of page
  • ntsiminrengo

【ウィシュマさん国賠訴訟】7月20日裁判 支援者見解

更新日:2023年2月24日

主張傍聴席はほぼ満杯となり、各社メディアのテレビカメラも入りました。


今回の裁判では国側からの準備書面等が提出されました。法廷での論点は、①相互保障について、②尿検査の結果、③ビデオ開示についての3点でした。




ウィシュマさんの死の責任を認めない入管庁の姿勢

国側から提出された準備書面、およびビデオ開示に関する意見書は、法務省、入管庁の姿勢として、ウィシュマさんの死の責任を認めないどころか、原告側の主張が誤っているという内容です。

例えば、ウィシュマさんの1回目の仮放免申請を不許可としたことについて、逃亡の恐れが払拭できなかったとか、保証人の信用がないとか、いろいろと言い訳を連ねていましたが、ウィシュマさんが仮放免を希望した理由である、DV被害者であるということについて、入管がどのように状況を認識し、判断したのか、何も触れていません


ウィシュマさんは、DVを恐れて帰国を拒否していたにも関わらず、入管側はDV被害について、まともに調査していません。「逃亡の恐れも払拭できず、DV被害が不法残留に影響を与えたとは認めがたい」などと、ウィシュマさんに事情聴取をすることもなく、勝手に解釈して仮放免申請を不許可にしたのです。

調査報告書を根拠に責任逃れ

他にも、ウィシュマさんが嘔吐を繰り返し、食事が食べられなくなり、体調が悪化していた状況に対して、外部病院での検査結果が「異常なし」であったこと、入管から、水分補給のドリンクの提供や薬の処方、看護師によるリハビリを行っていたことを挙げて、自分達がウィシュマさんの体調不良を看過して死に至らしめたことを否定しています。しかし、ウィシュマさんが入管から出されたドリンクや薬を飲んでいたとしても、ウィシュマさんは嘔吐を繰り返していたのであって、ドリンクや薬をきちんと摂取できていたとは考えられません。なぜ、ウィシュマさんが嘔吐を繰り返すようになり、かつ悪化していったのか、このことを調査することなく、入管がやったことをいくら挙げたとしても、入管の管理責任を否定する根拠にはならず、全て自分達の都合の良いように解釈するための理由づけです。

これらの主張は、昨年8月に提出された「調査報告者」に基づいていますが、調査報告書自体が、提出された当初から社会的に批判を浴びてきたものであり、この調査報告書に記載された内容を根拠として責任逃れをしようとすること自体が不当極まりないことです。

日本政府、入管からは、ウィシュマさんの命を奪われた、ご遺族の気持ちに誠心誠意向き合って、再発防止を徹底化する姿勢は全く感じられません。ウィシュマさんの死亡事件以降、入管庁は医療体制の強化などを謳い、医療体制は万全であると積極的に改善をアピールしていますが、現場である収容場では、極めてずさんな管理、対応が行われている状態であり、責任逃れ


をするための証拠隠しではないかと疑わざるを得ません。


ウィシュマさんは、送還一本やり方針の犠牲者 ―二度と犠牲者を出さないために―

法務省·入管庁は、被収容者の命や健康よりも、母国に送還する業務を優先する、送還方針をとっており、被収容者の体調がどうなろうとも、送還できるまで収容し、人権侵害を続けることを容認する価値観があります。ウィシュマさんもこの送還方針の犠牲者であり、今も、同様の人権侵害が繰り返されています。この裁判を通じて、ウィシュマさんの死の責任の所在が法務省·入管庁にあることを明らかにし、送還方針の転換を実現しなければ、事件の再発防止を徹底化することはできません。これからも勝訴判決に向けて徹底して支援していきましょう!


閲覧数:127回0件のコメント
bottom of page