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【入管闘争市民連合パンフレット「なぜ入管で人が死ぬのか」連載③】

くり返される見殺し事件と変わらぬ方針

ウィシュマさんが亡くなる1年8か月前の2019年6月24日、大村入管センターでナイジェリア人Aさんの餓死見殺し事件が起き、大きく報道され、長期収容が大問題となっていました。どうしてその後時間をおかずに同じような事件が名古屋入管で起きたのか、と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。

入管施設で面会支援をおこなってきた私たちも、2020年の3月、関西・東海・関東の学

生を中心に大村入管センターに面会に行きました。そのとき、センターに対し、二度と同様の事件が起きないよう皆で抗議しました。

ところが、入管はAさんの死後も、強硬方針を変えませんでした。大村入管で起きたAさん死亡事件直後の2019年7月17日、入管庁の佐々木聖子長官は、日本記者クラブで記者会見をしました。佐々木長官は、この場で外国人の収容問題について問われ、「長期収容というのが非常に問題だという認識は非常に強く持って」いるとしつつも、「なんとしても送還を迅速におこなうことで長期収容を解消したいというのが入管の基本的な考え」であると述べました。

のちほど説明するように、2015年9月の法務省入管局長通達によって、入管は、仮放免

を柔軟に活用することで収容長期化を回避するとしていたそれ以前の方針を撤回し、長期収容は送還の促進で解決すべきだという強硬方針に転じました。上にみた佐々木長官の発言は、この2015年以降の強硬方針をあらためてなぞったものです。

こうした佐々木発言は、マスコミや国民に向けたものであると同時に、入管組織内部に向けてのメッセージとしても理解すべきものです。入管庁長官が、強硬方針に転換した法務省入管局長通達等を検証することなく、それを継続し、長期収容問題は送還の促進で解決すべきだと、堂々と記者会見したことは、Aさん死亡事件に委縮することなく、2015年と 2016年、さらに 2018年に出した通達等を徹底化し、職務を遂行せよと職員たちに号令したに等しいものです。これでは処遇、送還執行の現場職員は「これまで通り『こんなところに、これ以上収容され続けるのはたえられない』と思わせる処遇や長期収容の徹底化が本庁(入管庁)からの方針である。本庁方針をより一層厳格に執行することが、適切な入管収容施設のあり方である」と考えるのは当然です。

佐々木長官は、1時間半近くにおよんだこの会見で、わずか3週間前に起きたAさん死亡事件に一言もふれませんでした。これほどの重大事件への言及がなかったこと自体が驚くべきですが、佐々木氏は同じ会見で、入管の収容施設は刑務所等の刑事施設とは異なり「帰るご準備をしていただければ明日にでもそこを出られる性質のもの」だとも述べています。Aさんへの直接的な言及ではないものの、Aさんが長期収容にたえかねてハンストを決行したすえに命を落とした事実を、当然ながらふまえたうえでの発言です。Aさん死亡事件があっても、入管庁は、収容が長期化するのは送還を拒否する者のせいであるという責任転嫁と自己正当化の理屈に執着しつづけました。こうして入管庁は大村での見殺し事件を反省しないまま、名古屋でも同様の見殺し事件を引き起こすにいたったのです。



(次回:入管庁の責任をごまかすための有識者会議)





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