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【入管闘争市民連合パンフレット「なぜ入管で人が死ぬのか」連載⑫】

6.おわりに


入管政策が「送還忌避者」問題を作り出した

 送還を促進するための改定入管法案は、反対世論の大きなうねりのなか、昨年(2021年)5月に一度は廃案になりました。しかし、入管当局はこの法案の再提出をねらっているとみられます。

 入管の主張は、「送還忌避者」の存在が収容の長期化をもたらしているのであり、したがって迅速な送還をおこなえるように法改定が必要なのだというものです。しかし、このように「送還忌避者」に一方的に責任を転嫁する理屈は誤りであるということを、このリーフレットでは述べてきました。

 2000年代前半、日本政府はその方針を、非正規滞在外国人の存在を一定程度黙認するものから、一転してこれを徹底的に摘発する方針へと転換させました。この入管政策の転換こそが「送還忌避者」の存在を顕在化させ、のちにそれが急増していくきっかけを作ったのです。

 「不法滞在者半減5か年計画」を「達成」した入管は、2009年の改定入管法の成立を機に、在特基準を厳格化すると同時に、長期収容・再収容・力づくでの強制送還を手段とする送還強硬方針に舵(かじ)を切ります。しかし、非正規滞在外国人全体のうち数%、帰国できない深刻な事情をかかえた人がいます。この「送還忌避者」と入管の呼ぶ人たちを、もっぱら送還によって減らそうという方針の破綻があきらかになったのが、2010年です。以後も、入管はこの送還一本やり方針を一貫して維持して現在にいたります。

 このように、20年にわたる入管政策の結果、3000人超の「送還忌避者」が蓄積されてきたのです。


問題解決は一刻も先延ばしにできない

 これまでみてきたとおり、「送還忌避者」問題は、20年という長い時間をかけて形成されてきた問題です。問題解決が先送りされ、長い時間が経過してきたことで、問題の様相はきわめて深刻なものとなっています。

 摘発されて退令発付を受けてからの期間は、最長の人で20年を超えています。仮放免者のなかで退令発付後10年以上という人は、めずらしくありませんこうした長い期間を仮放免という無権利状態に置きつづけたり、あるいは仮放免と再収容・長期収容のくりかえしで心身を痛め続けてきたりといった人権侵害をこれ以上つづけるべきではありません。2回、3回、あるいは4回と長期間収容されては、仮放免され、という仕打ちを受けてきた人たちは、心身ともボロボロの状態になっています。

 退令発付後長期間経過している人びとは、その高齢化もすすみ、60歳をこえる人も多く出てきています。病院にかかる機会が増えてくる年齢ですが、国民健康保険に加入できず、治療もままなりません

 また、3000人超の退令仮放免者のうちおよそ1割の300人以上は、未成年者です。その多くは、日本生まれか、幼少期から日本で暮らしている人たちです。学校で同年代の子たちといっしょに学び、将来の夢をいだいても、就労を禁止された仮放免状態では、就職できません。自身に在留資格がないことになんの責任もない子どもたちに対するこのような残酷な仕打ちは一刻も早くやめなければなりません。

 「送還忌避者」問題は、解決を先延ばしにできる一刻の猶予もない、喫緊の課題なのです。



次回:「在特基準の大幅緩和と国際基準での難民認定」




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