ドキュメンタリー映画「ワタシタチハニンゲンダ!」(114分)が、8月19日(金)から25日(木)まで東京·アップリンク吉祥寺での上映が決まりました。
在日外国人差別の最前線である入管収容施設
本作品は、韓国·朝鮮人、技能実習生、難民、入管収容者など多様な立場の外国人に対する差別問題の全体像を描いたドキュメンタリーです。
2021年3月6日、名古屋入管で33歳のスリランカ人女性·ウィシュマ·サンダマリさんが亡くなりました。その直前の同年2月に提出された入管法案は、この痛ましい犠牲を契機に社会世論を巻き起こし、学生·市民·弁護士らの闘いによって同年5月18日に、事実上の廃案に追い込まれることとなりました。
ウィシュマさんの事件は、入管が外国人の命と人権を顧みず、強制送還することだけを重視していることを明らかにしました。司法の監督·審査を一切受けることのない全件収容主義、無期限収容及び強大な裁量権を骨格とする戦後入管体制が、この事件を引き起こしたのです。この戦後入管体制の背景には、民族差別に根差した入管政策があります。かつて日本が植民地を求めて侵略戦争を行い、アジアの人々を支配し、差別·抑圧したことを戦後入管体制は引き継いでいます。
なぜ差別が生まれ、続くのか
戦前及びサンフランシスコ平和条約の発効まで、日本(いわゆる「内地」)在住の台湾出身者及び朝鮮半島出身者(いわゆる「外地戸籍」の人々)は日本国籍を有していました。彼ら彼女らは、形式的には日本人、すなわち、日本国籍所持者であったのに、実質的には他の民族として差別され、抑圧され、治安対策の対象として管理されてきました。そして、平和条約発効と同時に、国籍選択の機会も与えられずに、一方的に日本国籍を奪われ「外国人」として位置づけられて入管制度によって管理·抑圧されたのです。この民族差別の歴史を日本の国も社会も総括せずに引き継いでいます。この民族差別の体質は、戦後入管体制の中に脈々と息づいているのです。このような入管の民族差別の体質に基づき、在日の人々に対して、そして、後には、ニューカマーといわれる人々に対しても、治安対策の対象としてとらえ、徹底して管理し、抑圧するという戦後入管体制が続いています。
入管行政の改革のための映画
本作は、戦後入管体制下の在日外国人に対する差別と抑圧の実態を伝え、日本社会で生きる多くの市民へ向けて外国人差別問題の歴史と現状を突き付けています。当「入管の民族差別·人権侵害と闘う全国市民連合」の結成についても作中に言及されています。ウィシュマさん事件の後も続く在日外国人に対する劣悪な処遇の改善を目指し、「送還忌避者」を返すための入管法改悪を阻止するためにも、本作品が多くの方の目に触れられるよう、宣伝·上映活動などの様々な形のご協力くださいますようよろしくお願いいたします。
監督:高賛侑について
朝鮮大学校卒。著書に『アメリカ·コリアタウン』(社会評論社)、『国際化時代の民族教育』(東方出版)、『異郷暮らし』(毎日新聞社)、『在日外国人』(集英社新書)他多数。共著に『在日一世の記憶』(集英社新書)、『ひとびとの精神史』(岩波書店)他多数。朝鮮学校の歴史と現状を描いたドキュメンタリー映画「アイたちの学校」(2019年)監督。
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