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UNHCRへの質問書 (2022年7月15日)

更新日:8月30日


質問書


国連高等難民弁務官事務所駐日事務所 御中

国連UNHCR協会 御中


2022年7月15日


入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合

事務局長 前堂 亜祐美 



当市民連合は、全国各地の入管問題に取り組む支援団体・支援者・団体・個人で結成された、入管法改悪阻止と戦後入管体制の改革を求める全国的なネットワーク組織です。

国連高等難民弁務官事務所(以下、UNHCRという。)の駐日事務所元代表、国連UNHCR協会特別顧問であるという、滝澤三郎氏のFacebookの公開投稿(資料1)及びマスメディアや発行物での発言について、下記のとおり質問いたしますので、ご回答ください。


1 滝澤氏はUNHCR駐日事務所元代表の肩書を公言し、「大半の難民は日本に来ない」、その理由として「日本は多くの難民が発生する中近東やアフリカの紛争国家から遠く離れており、来日手段は航空機以外になく、航空機代は高額で、ビザの取得も困難です」。「(日本で庇護申請者の数が急増する理由に)難民認定制度が単純労働者の受入れのチャンネルになっている」、「申請者が増えると認定率が下がり、ますます真の難民は日本に来なくなる」等と同氏著「難民認定者が少ない理由」(資料2)をはじめとする各所で発言しています。これら滝澤氏の見解は、UNHCRとしての公式見解であるかお答えください。


2 私たちは、日本国内で様々な国籍の難民申請者の方たちを支援していますが、上記の滝澤氏の主張するような事実はありません。上記の滝澤氏の発言は、具体的根拠が示されていません。1の滝澤氏の主張がUNHCRの公式見解であると認められるならば、具体的根拠をお示しください。


3 滝澤氏は、「5昨年月(ママ)の入管法改正案の審議では、衆議院総選挙を控えて与野党がを(ママ)攻防したが、いわゆる対決法案の一つが入管法改正案。立憲民主党は、ウイシュマ事件のビデオが公開されることでメディアと世論が反入管・反政府に流れ、総選挙で有利になるとみて、ビデオを公開しない限り審議に応じない、との強硬姿勢を取った。与党はビデオ映像がメディア・世論の過剰反応を引き起こすことを恐れて開示に応じなかった。一部のメディアは反入管の先鋒に立って世論誘導を図った。」(2022年4月7日付けFacebookの投稿)、さらに「昨年の入管法改正に際しても、殺人など凶悪犯罪で長期実刑に服した者であっても、難民申請を繰り返す限りは絶対に送還できないという「送還停止効」に例外を導入する条項について、UNHCR駐日事務所は「強い懸念」を示したが、これが立憲民主党など野党や難民支援団体の法改正反対運動に利用され、一部のメディアも大きく報道した。」(2022年2月5日付けFacebookの投稿)と発言しています。以上の一部のメディア、支援者等に対する滝澤氏の見解は、UNHCRとしての公式見解であるかお答えください。

以上


質問の理由

 滝澤氏は、UNHCR元駐日代表という経歴ですが、元入管職員でもあります。しかし、元入管職員であるという事実はあまり公になっていません。UNHCR元駐日代表であると言って、あたかも専門家の中立の立場を装いながら、国際基準に基づく難民受け入れをしていない入管行政側からの主張を代弁されていることは、非常に遺憾です。近年滝澤氏は、自身のFacebookを通じて難民の人々に対する共感と敬意を減じる発言を繰り返しており、看過し得ない程度であると認識します。


 滝澤氏の理解によれば、条約を通じて権利を行使するのは主権国なので、難民申請者は、単に主権国家の権利行使の恩恵を受ける客体に過ぎないということになります。滝澤氏は、入管庁が制定しようとしている「難民認定ガイドライン」について、「『手の内』を明らかにするもの」(2022年2月5日付けFacebookの投稿)だと主張し、難民申請者が潜在的な敵対者であるという入管側に立った認識が透けて見えます。


 滝澤氏は、現在入管庁が導入を目指す送還停止効の撤廃を正当化するために、「(送還停止効)は殺人など凶悪犯罪で長期実刑に服した者」(同上)に利すると主張していますが、我々が知る限り、殺人罪で在留資格が付与されたのは1人だけであり、しかもそれは裁判所によって送還が違法であると認定されています。2回、3回と難民申請を繰り返している申請者のほとんどが家族を形成している人々で、しかも出身国は重大な人権侵害が報告されている国ばかりです。このように、極端な例を挙げて、その集団全体を特徴づける手法は典型的な差別扇動手法であると言わざるを得ません。


 その一方で滝澤氏は、日本の難民認定制度は厳格であると称賛し、日本の難民認定が少ない点について、「日本の『難民鎖国』は、重層的で構造的な障壁があり」と、批判の眼を法務省の認定制度から、批判者を含めた日本社会全般に向けさせ、さらに「それを崩すのは容易ではない」と制度改革への関心と可能性を失わせようとしています。法務省は、国連決議を経てUNHCRが1981年に制定した「難民認定ハンドブック」すら、ガイドラインとして受け入れることを拒否しているのが実態であり、難民条約締約国でこのような主張をしているのはおそらく日本だけです。入管庁は、難民申請者を不認定告知直後に強制送還したことは裁判を受ける憲法上の権利の侵害であると裁判所から断罪されたばかりです。


 滝澤氏がFacebookを含めて公的に発するメッセージには、難民申請者とそれを支援する弁護士や支援者、さらにはUNHCRへの批判が根拠なく繰り返されています。滝澤氏個人がどのような見識を有するかは、私たちが関知する範囲ではありませんが、UNHCR駐日事務所元代表の肩書を公言し、難民保護の専門家として世論を誘導している以上、UNHCRとしての公式見解を回答くださいますようお願い申し上げます。


以上




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