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​日本維新の会 梅村議員に対する抗議声明文

声明文

         2023年5月18日

 

入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合(略称:入管闘争市民連合)

HP: https://www.ntsiminrengo.org/     Twitter:@nyukan_alliance

(問合せ先メールアドレス:info@ntsiminrengo.org) 代表 指宿昭一

 

 2023年5月12日に行われた参議院本会議、同月16日、18日に行われた参議院法務委員会にて、参議院議員である梅村みずほ氏(以下、梅村氏)が、事実無根の発言を繰り返していることに、強い抗議の意を表します。

 

 後述のように梅村氏は、支援者がウィシュマさんに対し「病気になれば仮放免される」と述べ、詐病を演じるようそそのかしたかのような発言を参議院本会議で行ないました。しかし、STARTの抗議文(参照1)にも書かれてあるとおり、STARTはウィシュマさんに対してそのような趣旨の発言をしたことは一度もありません。病院に行くためのアピールをすることを伝えたとき、ウィシュマさんはすでに体調不良で、病気でした。支援者は、名古屋入管に対して、ウィシュマさんに点滴をすること、また入院も含めた病気治療を直ちに行うよう、入管に対して、収容主体としての責任を果たすことを何度も要求していました。しかし、点滴をしてほしい、病院へ連れて行ってほしいというウィシュマさんの再三の懇願を、入管は詐病であるとしてまともに聞き入れず、放置し、その結果、ウィシュマさんは命を落としました。たとえ常勤医がいなかったとしても、当時の名古屋入管局長がその権限でもって判断し、仮放免するなり、救急搬送するなりの適切な処置をしていれば、ウィシュマさんの命は救えました。

 

 しかし、梅村氏は、16日の法務委員会で、弁護団からの質問状について次のとおり回答しています。

 

 「質問2 よかれと思った支援者の一言」が原因で、「ウィシュマさんに「病気になれば仮釈放(仮放免)してもらえる」という淡い期待を抱かせ」たとの事実があるのかご教示ください。」

 「質問3 ウィシュマさんが本当に「病気になれば仮釈放(仮放免)してもらえる」と淡い期待を抱いていたのは事実であるか、ご教示ください。」

 の質問に対して、いずれにも「事実はありません。しかし可能性は否定できません」と答えています。

 

 「事実はない」と言いながら、「可能性はある」という憶測回答は意味を成していません。梅村氏が「事実はない」と認めたのであれば、あとは撤回と謝罪しかありえません。

 本日18日の法務委員会でも、「不詳の死」について入管次長に「ウィシュマさんはハンガーストライキを行なっていなかった、そう断定出来る事実はありますか?」など質問し、さらに「支援者のあり方」という名目で、「支援者に問題はなかったのか」と支援者に責任を追及する質疑を続けました。

 

 一連の梅村氏の発言は、入管の高度な管理責任義務という点を問うことなく、まるでウィシュマさんと支援者のコミュニケーションが事件を引き起こしたかのように問題をすりかえ、入管を免罪して、支援者やウィシュマさんに責任を転嫁したものです。梅村氏は、民主主義国家たる日本の国民(市民)の代表者として選出された国会議員として不適格であるといわざるをえません。

 梅村氏の発言は、ウィシュマさんへの冒涜であり、支援者に対する蔑視以外のなにものでもありません。梅村氏の発言に強く抗議し、発言の撤回と謝罪を求めます。

 入管は、入管法24条に基づき同法25条の退去強制手続きとして、又は退去強制手続きの裁決の結果として外国人を収容施設に収容できる権限を付与されています。この収容権の入管への付与は、当然に入管が収容された外国人の命や健康を守る責任義務を果たすことを前提としています。

 ところが梅村氏は、ウィシュマさん死亡事件について、入管の収容主体責任義務問題を全く問わず、「ウィシュマさんに「病気になれば仮釈放してもらえる」という淡い期待をいだかせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況につながったおそれも否定できません」と、支援者に問題があるかのようにすり替えています。

立法府の議員である梅村氏は、収容する側の入管と収容されている側のウィシュマさんとの関係は、圧倒的に強い国家権力と私人との関係であることを分かっているのでしょうか。入管によって、被収容者は身柄拘束され、診療の自由も食事の選択権も奪われています。だからこそ自分の自由意思で病院に行くことさえ出来ないウィシュマさんは、点滴を打ってほしい、等々と命の懇願を入管に何度もせざるを得なかったのです。そして、このままでは死んでしまうではないか、と入管に点滴を打つなど適切な診療を行うよう必死の抗議をしたのが、梅村氏がいう支援者です。しかし、名古屋入管はウィシュマさんの命の懇願、支援者の抗議を無視しました。名古屋入管は、入管庁本庁の通達、通知のもと、被収容者の人命よりも「送還忌避者の発生を抑制」し、送還業務を促進させる処遇を忠実に遂行し、ウィシュマさんを死に至らせました。これが、ウィシュマさん死亡事件発生の本質的問題です。

 ウィシュマさん事件の真相究明も総括もせず、人命軽視の体質を持った入管に、新たにさらなる権限を与えるというのが政府提出の入管法改悪法案であり、それが今、本国会の参議院で審議されています。

梅村氏に問いたい。市井の個人が、誰かの身柄を拘束し、自由を奪い拘禁すれば、それは監禁罪となる。にもかかわらず入管には合法的に無期限収容できる収容権が付与されているが、その収容権付与の前提とは何か、と。

私たちは、入管には、収容主体として被収容者の命や健康を守る高度な管理責任義務があり、その管理責任義務を果たすことが入管に対する収容権付与の大前提であると考えます。この点については、入管自身が「収容施設は,被収容者の自由を制約して収容する施設であるから,全ての職員は,自らが被収容者の生命と健康を守る責務を有することを自覚して業務に当たることが基本である。」(最終報告書94ページ))と、表向きは認めざるを得ません。

  被収容者の人権(命や健康は最大の人権)を尊重するという収容権の行使に対する制限がなければ、入管の収容権は、被収容者の人命を奪う凶器となることは明らかです。それゆえ私たちは、立法府の議員である梅村氏の国会での一連の発言は、入管の高度な管理責任義務という点を問うことなく、何の根拠もない思い込みで、まるでウィシュマさんと支援者のコミュニケーションが事件を引き起こしたかのように問題をすりかえたことを問題視しているのです。医療や行動の自由を著しく制限され、自身の生命を守る術すら奪われた被収容者の生命や健康が脅かされる事例が、ウィシュマさんの死亡事件が起こる以前から、収容所内では繰り返されていました。また、ウィシュマさんの事件以降も、続いています。面会活動をしている支援者らは、入管が被収容者の生命と健康を守るための管理責任義務を果たすことなく、入管にこれ以上の権限を与えることを、認めることはできません。

 梅村氏の問題発言は、立法府の議員としては失格発言であると言わざるを得ません。そもそも法律は法の対象に対する強制力を本質とします。強制力を持つ法律の立法について審議する国会において、議員として立場を自覚していたならば、梅村氏の問題発言はあり得ません。梅村氏が、法律の本質のイロハも知らない国会議員であるなら、梅村氏が入管法案の審議に参加するというのは笑止千万です。

なお、重要な法案審議の場で、梅村氏が質問状の回答を述べることについては、ご遺族、弁護団、支援者が求めたことではありません。ウィシュマさん事件は、もちろん重要な事案ではありますが、2021年4月に衆院法務委員会に参考人として呼ばれた「難民を助ける会」の名誉会長で難民審査参与員の柳瀬房子氏の発言内容など、現在参議院で審議中の政府案の立法事実となったであろう事案について、より時間をかけて審議されるべきです。その他、衆議院法務委員会に召集された参考人の発言内容について、監理措置制度、司法審査の機会と法律扶助の利用の確保、未成年者の在特問題など、審議から取り残されています。特に、柳瀬房子氏が発言した「(難民認定)申請者の中に、難民はほとんどいない」、2021年4月21日の衆議院法務委員会で、参考人として、「参与員制度が始まったのは2005年からですので、私は既に17年間、参与員の任にあります。その間に担当した案件は2000件以上になります」との発言が虚偽である可能性がある疑惑について追及すべきです。

立法府である国会は、議員のパフォーマンスの場ではありません。人の人生を左右する入管法案であるからこそ、参議院法務委員会で立法事実を精査し、審議を進めることを求めます。

以上

 

※参照1 【ウィシュマさんへの冒涜、支援者蔑視の梅村議員発言に断固抗議します!】発言の撤回と謝罪を求める抗議文(START HP)

https://start-support.amebaownd.com/posts/43695572
 

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