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【入管闘争市民連合パンフレット「なぜ入管で人が死ぬのか」連載⑬】

更新日:2023年1月23日

在特基準の大幅緩和と国際基準での難民認定

 

 私たちは、この「送還忌避者」問題が入管政策によって作りだされてきたのだということをくり返し述べてきました。そのことは、この問題は、入管政策の転換によってかなりの部分解決できるということを意味します。法改正・制度変更は将来必要だとしても、現行法・現行制度のもとで、やれること・やるべきことが大きいのだということです。

 もちろん、現行の入管制度には、外国人の権利を守るうえで根本的な欠陥があり、その是正が重要な課題であることは言うまでもありません。しかし、同時に、いま生存すら困難な状況に置かれている人たちが生存できるようにすることが緊急に必要であり、それは現行法のもとでも取り組めるのです。

 それは、ひとつには在留特別許可の基準を大幅に緩和することです。在特基準は、その決定・変更のプロセスは不透明ですが、入管当局がさまざまな政治的な力関係・バランスをみて決定し、これを状況をみながら時期に応じてその都度変更してきたのは確かです。入管当局がその気になれば、その基準を見直すことは可能なのです。そのための世論作りや当事者支援に私たちは取り組まなければならないでしょう。

 もうひとつは、国際標準での難民認定をおこなうことです。日本の難民認定率・認定数とも諸外国と比べていちじるしく低いことはよく知られるようになりました。数字だけでなく、本来難民として認定されるべき人が認定されていないという実態を具体的に可視化しながら、難民認定の審査を正常化せよと声をあげていくことも必要です。

 入管はもっぱら送還の促進によって「送還忌避者」を減らしていこうという方針に固執しています。この送還一本やり方針への固執が、きわめて厳しい在特基準と、これまたきわめて消極的な難民認定にあらわれているとみるべきでしょう。しかし、この方針のもとでは入管のねらいどおりに「送還忌避者」を減らせないということは、すでに明らかです。在留を正規化していく方向での解決が喫緊に必要です。

 政策というのは、市民の意見を反映させて決定されるべきものです。ところが、入管政策については、かつては市民の関心が低く、市民が声をあげることも少なかったために、法務省、入管が好き勝手にこれを決めてきたというのが実情です。その結果が、3000人を超える人々を無権利状態に置きつづけ、この人びとをもっぱら送還一本やりで減らそうという方針のもと入管収容施設では拷問・虐待を通じた帰国強要をおこない、被収容者を見殺しにする事件をくり返しているという、入管の現状であるわけです。この送還一本やりの方針を撤回させ、帰るに帰れない事情のある人びと、また国籍国を知らず日本で生まれ、あるいは育ってきた子どもたちが、在留資格をえて安心して日本で暮らせるよう、ともに声をあげ取り組んでいきましょう。






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